まつもと市民オペラ 『山と海猫』佐川吉男音楽賞奨励賞を受賞!

去る、令和4年1月まつもと市民芸術館主ホールにて上演された まつもと市民オペラ第7回公演 信長貴富作曲『山と海猫』(委嘱作品・世界初演)は、第20回佐川吉男音楽賞奨励賞(事務局 公益財団法人三菱UFJ信託芸術文化財団)を受賞いたしました。

《受賞理由》
地方オペラとして地道で刮目すべき活動を展開してきたまつもと市民オペラが、初めて委嘱初演の作品を採り上げた。加藤直が書き下ろした台本に、合唱曲の作曲で声望の高い信長貴富が作曲した「山と海猫」は、全く相反する現実世界と異世界の登場人物が織り成す抽象的で幻想的な世界の物語。観念的な歌詞や、トリッキーで或る種曖昧模糊とした筋立ての晦渋さもあるが、演奏は眼を見張るもの。少女花月役の杉山由紀、石と話せる謎の女かえるで役の天羽明惠、地図製作会社社長の山田役の大西宇宙らのソリストひとりひとりの熱演以上に、まつもと市民オペラ合唱団は、入神の演奏・演技で信長の音楽に挑む。指揮の城谷正博と「山と海猫オーケストラ」も、作品への尋常ならざる次元での理解と共感を示した。「初演」という段階でこの水準まで極められた演奏に出会える機会は滅多にない。「地方オペラ」の次元を超えた公演。晦渋さを更に咀嚼した再演を行ない、まつもと市民オペラの財産となることを期待する。